BiMA(ビム・アーキテクツ)が、BIMへ移行するまでのプロセスについてご紹介します。
BIM1.0~4.0と4段階に整理しています。最近は、BIM5.0が見えてきたところもありますが各段階で見えたこと
気づいたことをご紹介しますので、これからBIMへ移行する方に参考にしたいただければと思います。
(全4回連載)
BIM2.0 3D & Simulation
3D設計への取り組み
BIMによる最初の成功体験から、3Dによる効果の大きさを知り労力をかけても
3D化する意味がある事を知り、3D設計を本格的に進めることにしました
これが多くの人が間違えてしまう、BIMの落とし穴とも言えます
「BIM=3D」と考えてしまうと、BIMモデルを作り過ぎてしまうからです
実際の業務のスケジュールや労力に見合ったモデルにしなければ業務が成りたたなくなります
各段階での取り組みとポイントをご紹介します
◾️企画設計のモデル化
計画ボリュームと斜線の3Dモデル化を行って、計画条件を可視化しました
立体的に空間構成が見えることで、分かりやすく条件の理解が早くできます
単線プランと同等の内容が可視化することで、基本設計で再調整しがちな
空間構成を的確に検討することができます
ここでの課題は、面積計算です
Revitの集計機能では、切り捨て処理した数値の集計ができなかったからです
◾️基本設計
建築要素のモデリングにより、平面図、立面図、断面図の整合性を容易に確保できました
部屋の用途別や面積別の色分け図などは、フィルター機能を使って、属性情報から自動で色をつけたり
表示/非表示を設定できるので図面作成の効率化にもつながりました
課題としては、3Dモデルの作り方となります
どこまでマテリアルをつければよいのか、壁の仕上を天井で止めたいが壁のモデルを分けたほうがよいか?
天井と床は作る場合は、基本設計でどこまで作成するかなど
実施設計での使い方を予測したモデリングと構成を検討しました
また、部屋の集計表を使って仕上表を作成することができるが、設定情報の共有や
表の表現について、課題がありもう少し簡単に正確に管理する方法を検討したいと思いました
◾️実施設計
建築構成要素の仕上と下地のモデル化を行います
基本設計で悩んでいたモデルの詳細度については、すべてモデリングをすることで
検証することにしました
数量算出に対応するレベルで作成するため壁の下地はスラブまで
仕上は天井までと分けて入力します
合わせて巾木や廻縁なども作成して、数量算出と連携して集計することができました
ここでの課題は、詳細度を上げるための労力です
また、モデリングするためには建材についての知識が必要なので誰でもできるわけではありませんでした
壁や床のタイプ名の命名規則などをルール化しないと重複したタイプや何のためのタイプかが判断できず
集計時にもまとめられないという課題となってしまいました
◾️ビジュアライゼーションとの連携
Revitのデータを3dsMaxにFBXファイルで連携して、マテリアルの設定と
光源と点景モデルを追加してデータを作成しレンダリングします
(現在はTwinmotion、Lumion3Dなどリアルタイムレンダーがあるため簡単に対応できます)
ここでの課題は、データ連携の形式とリンクなどの構成のルール化が必要なことと思いました
またデータ連携時のマテリアルの調整や3Dモデルの欠損などの調整作業もあり
どのようなフォーマットと連携手順について検討の必要がありました
◾️干渉チェック
RevitのデータをNavisworksと連携させて構造と意匠モデルの干渉チェックを行います
壁と梁の干渉が多く、許容できる部分と問題がある部分に切り分けて対応を行います
想像以上に干渉箇所が数百箇所単位となってしまうので、対処方法に困りました
干渉チェックの対象オブジェクトのグルーピングや、許容値の設定など
独自のルール化が必要になります
◾️環境シミュレーションとの連携
Revitのデータを書出し、WindPerfectの3Dデータを取り込んで
外部風環境や内部空調解析を行います
データを連携してシミュレーションを行えるのですが、
正しい基準を理解していないと結果を正しく判断することができませんでした
3D設計のやり過ぎに注意
企画、基本設計、実施設計の各フェーズで何を目的にしているかを整理する必要があります
3Dのモデリングに熱が入りすぎると目的以上に作り込みすぎてしまい修正に時間がかかったり
作成時間に時間をかけ過ぎる場合があるので注意が必要です
BIMへの取り組みを整理するのが大切
できること、できないこと、やり易いこと、やり難いことを整理することが大切です
例えば・・・
できること: 2Dと3Dの連動による不整合のないデータの作成
できないこと: 誰でも簡単にはできない。効率的な作業には環境とルールが必要
やり易いこと: 平面図を描くだけで、立面図、断面図、3Dができる
やり難いこと: ルールに合わせたモデルの作成とそのモデルのチェック
BIM2.0では、3Dモデリングを中心に何ができるのかを検証しましたが
労力に見合ったプロセスを見直す必要がありました
そこで、BIM3.0にて新しいプロセスにチャレンジすることにしました
次回のBIM3.0でご紹介します