BiMA(ビム・アーキテクツ)が、BIMへ移行するまでのプロセスについてご紹介します。
BIM1.0~4.0と4段階に整理しています。最近は、BIM5.0が見えてきたところもありますが各段階で見えたこと
気づいたことをご紹介しますので、これからBIMへ移行する方に参考にしたいただければと思います。
(全4回連載)
Digital Design
情報活用のためのプログラミング
「BIM=3D」という理解から、「BIM=情報化」という理解に変わり、業務での課題解決や新しいプロセスなどへ
展開することができると思い始めました。そこで必要となるのがプログラミングです
例えば、従来は面積は部屋タグで自動で表示されるが、日本仕様でないため少数第2位での切り捨て数値の
集計ができなかったり、その面積を電卓を叩いてExcelに入力するなど情報連携に課題がありました
そこで、部屋面積を桁処理して集計し、Excelに自動入力するというプログラムを作成しました
これにより、作業スピードが早くなるだけでなく、面積の集計結果からすぐに判断ができることや
面積の集計確認する手間を無くせるため作業全体の効率化を実現しました
従来業務の3倍ぐらい早く精度をあげることができます。CADから比べると10倍早いイメージです
構造モデルの自動化
構造設計では、一貫計算ソフトをつかい3Dモデルや部材の情報化は行っているデータがあります
構造設計者も忙しいためBIMを覚えてくださいとは中々言えなかったために、データを受け取り
自動でモデル化をできないかと考えました
SS3からのCSVデータを使って、部材のリスト情報と部材の配置位置情報を取得して
モデル化することを実現しました
(現在では、SS7のSTBデータに対応して自動モデル化に対応しています)
仮定断面をBIMモデルに展開できることで、構造部材の位置や天井内のスペース検討を
基本設計の初期段階からも正しい情報で行えるため設備計画もイメージして設計を進められました
構造モデルを連携することだけで、設計業務の効率化につながり
情報連携の活用について考えるようになりました
仕上表・建具表の効率化
設計の中で、仕上表や建具表を作成するのはある程度設計が進んでいかないと作れないもので
それなりの経験や知識があってもまとめるのが大変な図面でした
これを効率化するだけでなく、設計業務のストレスを低減できるのではないかと思いました
仕上表を作成するには、各部屋に仕上げ、下地などの情報を入力する必要があります
BIMモデルの場合は、全部屋に情報を入力するため大変手間がかかります
部屋情報を活用するために「標準仕上表」と名付けた、部屋名と仕上げ、下地、FLやCHなどを
文字と数値情報で入力した表を作成しておきます
部屋名をキー情報として、BIMモデルにある部屋名と標準仕上表の部屋名が合っていれば
表の情報をBIMモデルに入力するというプログラムを作成しました
これにより、作業は一瞬で終わり、社内仕様にあった命名規則で入力できることになります
部屋情報が入力されているので、仕上表を作成するためには部屋名を作成したい順番で選択するだけで
仕上表を作成できるプログラムを実現しました
これで仕上表はいつでも簡単に作成ができて、設計者のストレスも軽減できました
建具表も同様に自動で作成するプログラムを行なったため仕様情報をコントロールできるようになり
BIMモデルのマネジメントへの意識とつながっていきました
社内仕様にあったBIMモデルの作成
詳細度を上げていくと情報の入力精度も必要となります
3Dに見えていても正しい情報で作成されていないと数量集計が適正にできなかったり
図面化の表現でフィルター機能を使おうと思っても使えないなど問題が多く起こります
BIMデータを活用するためには、社内仕様に合わせた命名規則や構成になっていないと
ただの3Dモデルとして本来のBIMデータの活用ができないことになります
社内仕様に合わせて、モデリングできる機能や入力する情報の管理できるプログラムを
開発し作業の効率化と精度向上を両立していきました
その結果、建築の知識や経験が無くともBIMデータ作成のオペレーターを育成することが
可能になることに気づきました
BIMデータマネジメント
BIMデータを情報の集合体として捉えるようになることで、今までの設計プロセスを見直し
効率的な作業を創造できるようになりました
マンパワーの時代では無くなった現在では、仕事を集約し、判断し、効率的な作業にすることが
重要ですが、BIMソフトはそれを実現するプラットフォームになります
プログラミングによる効果は大きく、社内の技術や経験を置き換えていくこともできると思います
人の仕事に変わる手段というよりも、人の仕事を拡張するためにコンピュータで対応できるものは
対応してもらうイメージを持っています
それにより建築教育を受けていない人材もBIMオペレータ人材として活用もできます
若手の教育も3Dモデルから現場で経験する体験をシミュレーションすることもできます
BIMデータのマネジメントが社内のノウハウとなりました
これを社外とも連携するために「CDE」(情報共有環境)も大切になってきました
次回は、CDEについて解説していきたいと思います