BIMは、建築を情報化して活用するための概念
BIMを魔法の言葉のように使う人がいます。「これBIMで見せて!」「BIMでやればできるでしょ」など
BIMへ期待することが大きいのはわかりますが、正しい使い方ではありません。
言葉を理解し正しく使うことで、BIMも正しく運用することができます。
BIM (Building Information Modeling) は
建設ライフサイクルで情報を活用する新しい建築業務の技術や概念です。
特定のBIMアプリケーションや作業を示すわけではありません。
国土交通省では
「コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、建物の属性情報(各部位の仕様・性能、居室等の名
称・用途・仕上げ、コスト情報等)などを併せ持つ建物情報モデルを構築するシステム。」
と定義されています
将来BIMが担うと考えられる役割・機能として、
[Process]
・コミュニケーションツールとしての活用、設計プロセス改革等を通じた生産性の向上
[Data Base]
・建築物の生産プロセス・維持管理における情報データベース
・ライフサイクルで一貫した利活用
[Platform]
・IoTやAIとの連携に向けたプラットフォーム
「BIM加速化事業」として、国がBIMについての補助金を出しています。
プロジェクト規模などに条件はありますが、BIMアプリケーションの費用、コンサル費用、教育費用を
補助金が使えますので、ご興味がある方は利用してください。
弊社の「AReX-Style」も対象BIMアプリケーションとして記載されています
このように、BIMへは行政からの関心や期待も多く建設業界にとって期待されている概念や技術です。
LODは、情報量の基準
LODは、「Level Of Development」 または、「Level Of Detail」の略で、BIMモデルの詳細度を示す指標です。
ただ、公的に決まった基準ではないので、現在は各事業者がEIR(発注者情報要件)やBEP(BIM実行計画書)で
プロジェクト共通の基準を定義しています。
BiMA(ビム・アーキテクツ)の基準は、以下の通りです。
・LOD100 企画・基本計画レベル 空間構成が分かるレベル
・LOD200 基本設計レベル 建築要素が分かるレベル
・LOD300 実施設計レベル 建築仕様が分かるレベル
・LOD400 生産設計・施工レベル 建築部材が分かるレベル
・LOD500 維持管理レベル 管理情報が分かるレベル
この定義を決めておかないと、BIMを初めたときにやりすぎ、作り込みすぎになります。
BIMでは図面の管理では無く、BIMモデルの情報を管理することが運用のポイントです。
CDE無くして、BIMは運用できない
BiMAでは、大阪万博のBIMマネージメント業務を担当しています。
この業務では、各パビリオンのBIMモデルを統合するだけでなく
CDE(共通データ環境)の構築と運用も含まれます。
日本最大のBIMプロジェクトで、200近いパビリオンのデータを統合するため
多くのBIMマネージャーとコミュニケーションが必要になります。
通常のBIMプロジェクトでも、施主、設計、施工、関係業者とのデータの共有は不可欠です。
CDEの運用のポイントは、データの保存場所を共有するだけでなく、データとコミュニケーションの
関係が確認できることです。
このデータは、いつ誰がどのような経緯のデータか確認できます。
BIMプロジェクトでは、Eメールのやりとででは情報の鮮度が追いつかず運用できません。
例えば、構造モデルの柱位置を変更していたのにも関わらず意匠モデルの作業者は柱位置が正しいか判断できません。
CDEでBIMデータを管理していれば、それぞれの担当者に連絡が行くことも容易にできるだけでなく
その経緯や意向についても確認することができます。
図面は1枚が成果物として確認すればよかったものが、BIMではモデルから出された
図面、パース、数量などが成果物となります。
BIMモデルを修正すれば各成果物も最新に更新され不整合を起こすこともありません。
BiMAのCDE(共通データ環境)の定義
1)データを共有できること (BIMデータ、図面、ドキュメント、写真、動画など)
2)プロジェクト関係者とコミュニケーションができること (チャット、TV会議など)
3)データの履歴や指示の経緯が確認できること
BIMモデルを作成するだけでなく、運用を考えたときにCDEという環境を作り運用することがポイントです。